見出し画像

消滅可能性自治体(承前)(2024年7月)

これまで培われてきた、中井町の子育て支援、移住定住施策は、他の自治体と比べても遜色ないものですが、住みたい人がいるのに、住む場所がないというミスマッチが顕在化している現状を、前回お伝えしました。

今年度、空き家の実態調査を行なうと共に、先日、地元信金などと連携し、空き家対策の推進を進めることとなりました。ゆくゆくは町民の皆さま、町内事業所などとの連携を密にした、移住・定住プラットフォームも模索しています。

さらに今回は、もう一つの人口増加策をお伝えできたらと思います。

奇しくも消滅可能性自治体に分類されたその日、わたしは関東町村会のセミナーで、人口問題を研究するニッセイ基礎研究所の天野馨南子(かなこ)さんの話を聞きました。

人口動態分析によると、東京一極集中は、未婚者が、就職を機に、他の46道府県から、東京に集まる状況に起因していると言えるそうです。

詳しく見ると、女性のほうが男性よりも多く、東京に集まっています。コロナ禍で一時的に東京への流入は低下しましたが、令和2年、東京に移った女性は男性の2.2倍だったそうです。

「都心の企業は女性活躍推進法などの取り組みを進めてきた。若い世代は、男女格差がなく、従事できる職場を求めている」と、天野さんは見ています。
さらにある調査では、男性のほうが共働き家庭を希望する割合が高くなっており、「若い世代が新しい家族の形を切望しており、ジェンダーレスな雇用環境を整えることが重要」と指摘しました。

先ごろ刊行した『町勢要覧』に、「中学生と町長が考察する中井的未来のゆくえ」と題して、中井中学生とわたしの対話が掲載されています。

ある生徒は「10年後は町を出てしまっているかもしれない。戻ってくるには働く場所がないと難しい」と言います。この生徒のいう「働く場所」の意味が、よく分かったような気がします。

そこを整え、若い世代が戻ってくる、暮らしたくなる中井町にしてまいりましょう。まず、働く場としての中井町役場から、早急に進めるべく、現在、17年ぶりとなる「中井町人材育成基本方針」の改定に着手しています。

町勢要覧の対談で、別の生徒は言います。10年後も「おじいちゃん、おばあちゃんにやさしい環境は、そのままあってほしい」。そうした思いの若者たちが私たちをきっと支え、この町が消滅することはありません。